225オプションで億トレーダー(仮)になる目論見書

オプションの投資手法を学んで、億トレーダー(仮)を目指そう!

羽生善治九段の「美しい手」とは、AIが美しさの基準を変えつつある

昨日の記事で紹介した『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周)には、将棋界の第一人者である羽生善治九段の言葉が引用されている。引用元となっている「捨てる力」は、2010年11月出版の「羽生善治の思考」を再編集・文庫化したものだという。私は、この引用文が気になって仕方なかった。将棋における「美しい手」とは、どういう手なのだろうか。その美しさがわかるようになれば、将棋が強くなれるのだろうか。

洗練されるとはどういうことか。それは、無駄をなくすること。完全に無駄がなくならないと絶対に美しくはなりません。美しい手を指す、美しさを目指すことが、結果として正しい手を指すことにつながると思う。 

「捨てる力」羽生善治

羽生九段が史上初の七冠独占を達成した1996年に、ある将棋メディアが全棋士を対象に「プロ棋士がコンピュータに負ける日はいつ来るか?」というアンケートを実施した。多くの棋士が「そんな日が来るとは思えない」と回答する中で、羽生九段は「2015年」とはっきりとした数字で答えた。その予言は、ほぼピタリと当たったことなる。羽生九段は最近の対談で、AIによって囲碁や将棋の世界では「美しさ」の定義が変わってきている、と語っている。

藤井聡太七段は、研究に将棋ソフトを積極的に取り入れていることで知られるが、AIが指す将棋の特徴を居玉でも優勢になる形をひねり出してくる、と表現している。玉を固めて安全性を高めることが優勢につながる、それが「美しい」形とされてきたが、AIはその基準を変えつつある。羽生九段は、時の流れで評価や基準が変わると知ったうえで、棋譜の美しさを感じられるようになれば、将棋が強くなってきたという意味だ、とも言っている。

タイトル戦がネット中継される際に、将棋ソフトが示す候補手が紹介される機会も増えた。観察していると、受けた方がよさそうな局面でも、細く見える攻めの手を最善と考える傾向があることに気づいた。それが、AIの提示する新しい「美しさ」ということなのだろう。時代の変化に対応するには、時には記憶や経験も意識的に捨てることが必要、それが羽生九段のいう「捨てる力」であり、彼の美意識なのだと今は自分なりに理解しておきたい。

真・善・美の感覚である「美意識」が投資にも必要な時代に

山口周のベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』を読んだ。かなり前から、美術業界にいる友人に勧められていた本だ。副題は、経営における「アート」と「サイエンス」。コンサルティングファーム在籍経験のある著者が、論理的・理性的スキルに偏重した日本企業に警鐘を鳴らし、直感的・感情的スキルの重要性を説いている。事例は企業経営のみならず、将棋やチェスなどにも及んでいて、興味深く読むことができた。

従来の論理的・理性的なアプローチを突き詰めると、他人と同じ答えしか出せなくなる。これを著者は「正解のコモディティ化」と表現する。論理的に判断できないことについて、「自分はこう思う」という哲学のようなものを持っていないと、何も決められないという結論になってしまう。そのような時に唯一頼れるのが、真・善・美の感覚である「美意識」なのだという。今、エリートたちはアートスクールに通うなどして、美意識を鍛えることに躍起になっている。

「美意識」という考え方は投資にも活かせそうだ。私が実践しようとするシステムトレードについては、古典的な推計統計学に基づいているため、まさに論理的アプローチの典型といえる。ヒントとして、デザイン会社は直感的に把握される「解」を試してみて、試行錯誤を繰り返して最善の答えに至ろうとする、と書かれていた。バックテストの結果だけで判断するのではなく、ロジックに美意識の要素を取り入れることはできないか。そんなことも頭をよぎった。

美意識を鍛える具体的な方法としては、芸術品を「見て、感じて、言葉にする」ことが有効とのこと。他にも、哲学に親しむ、文学を読むことなどが紹介されていた。投資に活かせるかどうかは置いておいても、まずは試してみる価値はあるだろう。投資を続けて行くにあたり、たまにこの本を読み返してみようと思う。今は理解できなくても、時間の経過とともに美意識が少しは鍛えられて、直感的にわかるようになることもあるのではないかと期待している。

タックスヘイブンの安易な利用は命取りに、投資家に必要な節税知識とは

株式投資の税金は優遇されている。特定口座であれば、利益の20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されるだけで、確定申告の必要もない。投資に振り向ける種銭は、本業で儲けてたっぷり税金を引かれた後の純利益だから、それを運用して得られるキャピタルゲインの税金は軽くしてやろう、ということだろう。いずれは、譲渡益に対する課税が強化されるのではないだろうか。今のうちから節税方法を考えておいた方がいい。

株式取引では、含み損を確定させて実現益を減らす「損出しクロス」が節税の基本テクニックとして使われる。市場でクロス取引を行うと、株価操縦をしているのではと疑われるケースもあるので、証券会社が提供しているクロス取引サービスを利用することを推奨する。手数料は少々高くなるが、証券会社が持株を当日の終値でいったん買取り、翌朝に証券会社から同じ値で買い戻すという手順で、市場を通さずにクロス取引ができる。

海外口座では、利益が一定額を超えてくると税率も高くなる。しかし、タックスヘイブンに会社を設立して節税しようというのは夢物語である。日本には、アメリカにならって制定されたタックスヘイブン対策税制がある。タックスヘイブンに設立した会社名義の口座に利益を留保していたとしても、国内で発生した利益として合算申告しないといけない。もし、国税に見つかったら悪質な税金逃れとみなされ、金額次第では即、刑事告発されてしまう。

個人的に、もっとも現実的な節税方法だと思っているのは、投資活動を法人で行うことだ。現在、株式現物や先物・オプションは個人名義だが、いずれ法人名義に切り替えて行きたい。投資を法人名義に統一することで、海外FX口座や仮想通貨などの損益も合算できるし、仮に赤字になっても最大9年間繰り越せるメリットが大きい。一方で、決算期末の含み損益を申告しないといけないので、前述のようなクロス取引を行う意味はなくなる。

「ものづくり補助金」を活用してオリジナルの投資ツールを開発する方法

中小企業や個人事業主が国からもらえる補助金は、年間で3000種類にも及ぶという。比較的審査に通りやすいと評判なのが、中小企業庁が主幹となって実施している「ものづくり補助金」である。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、幅広い業種が対象になる。審査に合格すれば、設備や開発費などの経費を最大2/3(上限1000万円)補助してくれる。これを投資ツール開発に利用できないだろうか。

ものづくり補助金は、新規事業もしくは既存事業のプロセス改善を促進する目的に支給される。法人や個人事業主が事業として投資を行う場合、そのシステム開発費やソフトウェア購入費は補助対象になりそうだ。ただし、提出する書類はかなり複雑で、申請は補助金助成金を得意とするコンサルタント経由で行う企業が多い。この種のコンサルタントは、獲得できた助成金の20%前後の成功報酬ベースで申請書類を作成してくれる。

合格率を高める方法がいくつかある。その一つは、経営力向上計画の認定を受けることだ。A4用紙2枚のフォーマットに、自社の課題に対して経営力向上に関する目標や施策などを記入して中小企業庁に提出する。認定されれば、補助率が最大の2/3(認定のない企業は1/2)になるほか、補助金の審査の際に加点されて合格率が確実に上昇する。金融機関に融資を依頼する際も、金利の面で優遇されるなどの特典がある。

近年では、クラウドファンディングも審査項目に加えられている。補助金申請の直前期間にクラウドファンディングで資金調達に成功した実績があれば、審査で加点される。クラウドファンディングで資金調達できたということは、消費者から一定の評価を得られたことを示すので、補助金の支給先として適切であると判断されるようだ。ものづくり補助金は年に数回募集され、合格するまで何度でも応募できるので一度検討してみたいと思っている。

投資において聖杯は存在する?裏技的な必勝法を追求するロマン

投資の世界に、「聖杯」と呼ばれる必勝法は存在するのだろうか?人によって必勝法の定義はまちまちなので、一概には言えないかもしれない。少なくとも、将棋で例えると、初級者でも覚えるだけ有段者に勝てるようになる必勝戦法のようなものは存在しないと断言できる。過去の経験だと、儲かる話ほど親しい友人伝いに情報はすばやく伝達する。もし、そんな夢のような聖杯があるなら、とっくの昔に私の耳にも入ってきているはずだ。

必勝法に近いものとしては、業者のシステムの不備を突く「裏技」と呼ばれるものが存在する。一例としては、レイテンシー(遅延)トレードがある。簡単に説明すると、FXでレート配信がほんの一瞬遅い業者を見つけて、未来のレートに基づいて注文を入れる手法である。確かに儲かるが、銀行から一番早いレートを入手するためのシステム投資が嵩むうえに、配信の遅い業者に対策をされてしまうと突然通用しなくなってしまうリスクがある。

過去には、裏技を買わないかというオファーを受けたことも何度かある。最もシンプルだったのは、2つのFX業者に口座を開設して両建てするというもの。同じ口座で実践するとすぐに口座凍結される、つまり投資家がほぼ確実に儲かる=業者が損するからだという。世の中には、裏技の研究や開発に入れ込んでいる人が意外に多い。裏技の開発だけで食っているわけではないだろうが、裏技を追求することにはそれだけロマンがあるのだろう。

今でも通用するホンモノの裏技には、当然ながら高値が付く。逆に、すでに業者に対策されて通用しなくなった過去の裏技については、タダ同然で手に入ることもある。裏技としてはすでに価値はないが、当時儲かったロジックや手法を知ることで、業者のシステム構成やネットワークの欠陥など、外からはわからないことが見えてくる。裏技を開発している人によると、過去の裏技がヒントになって、新しい裏技のアイデアが生まれるケースも多いという。

確率は持っている情報によって変わる、情報の多い人が断然有利

休日なので気分転換に簡単な確率のクイズを出題してみよう。問題①「ジョーカーを除いたトランプ52枚から、裏にしたまま任意の1枚を選んで箱の中に入れた。残った51枚をよくシャッフルしてカードの山としてセットした後、上から1枚目、2枚目の表を開くといずれもハートだった。この時、箱に入っているカードがハートである確率はいくらか?」素直に考えれば、まだ開いていない50枚中ハートは11枚しかないから、確率は11/50(22%)になる。

この問題を出題すると、必ずと言っていいほど、「答えは1/4(25%)だ」と主張する人が出てくる。彼らの根拠は、「1枚も開かれていない時点で箱の中のカードが何かは先に確定している。2枚のカードを開いた後に、箱の中のカードがすり替えられることもない。よって確率は、最初に1枚を選んだ時の1/4のままである」ということだろう。たしかに、一理あるようにも聞こえる。では、問題を少し変えてシンプルにしてみよう。

問題②「ジョーカーを除いたトランプ52枚をよくシャッフルしてカードの山としてセットした。上から1枚目、2枚目を開くといずれもハートだった。この時、3枚目のカードがハートである確率はいくらか?」これなら、ほとんどの人は11/50と答えるのではないだろうか。もし、「①は1/4だけど、②なら11/50だ」と答えた人がいたとしたら、明らかにおかしい。(まあ、①も②も1/4だと答える人も稀にいるかもしれないが。)

②の「3枚目」のカードは、シャッフルしてカードの山としてセットされた時点で確定している。1枚目、2枚目の結果によって後からすり替わることもない。つまり、②の3枚目のカードと、①の箱の中に入れたカードは、条件として何ら変わりはないことがわかる。もっといえば、開かれていない50枚のカードの確率はすべて同じ。①の「先に1枚選んで箱の中に入れた」という文章は、その1枚が特別であるかのように装うのが目的だったのだ。

開かれた2枚のカードがハートだったのを見ていなかった人は、①も②も確率は1/4と判断するしかない。この問題が示唆しているのは、確率は持っている情報によって変わる、そして情報を多く持っている人は、より正確に確率を計算できるアドバンテージを得られる、ということである。

ロバート・キヨサキも認めるオプションの売り、世界三大利殖は誰が言い始めたのか?

サヤ取り、サヤすべり取り、オプションの売りの3つは、「世界三大利殖」と言われている。これら3つが三大利殖と表現されることには何ら異論はない。誰がいつ頃から言い始めたのだろうと出典を調べてみたが、意外にもハッキリしない。一般的な投資家の認識としては、サヤすべり取りは認知度が低く、オプションの売りは難易度が高いと思われていることから、サヤ取りの優秀性をアピールしたいセミナー業者が言い始めたのではないかという説もある。

サヤ取りは、複数の銘柄間に生じた価格差を利益に変える手法で、アービトラージとも呼ばれる。ジョージ・ソロスが無名時代にサヤ取りで資産の基盤を築いたのは有名な話だ。株式市場では、日経225先物TOPIX先物のNT倍率を基準にしたサヤ取りや、過去の値動きに相関性が高い個別銘柄間のサヤ取りなどが盛んに行われている。最近では、複数の取引所での価格差を狙った仮想通貨のアービトラージを行う投資家も多い。

サヤすべり取りは、先物取引において時間の経過とともに価格が下がる性質を利用するもの。小豆などの商品先物取引が盛んだった頃は、期先の価格が期近よりも高くなる商品が多かったので、プロ投資家の間ではよく知られた手法だった。VIX先物の期先を売る、あるいは行使価格10のVIXコールオプション期先を売る手法は、サヤすべり取りと表現できるだろう。VIXは価格変動の期待値を表すものなので、平時なら残存期間の長い期先の方が高くなるからだ。

オプションの売りは、ロバート・キヨサキが著書の中で「お金持ちが行う投資術の一つ」と紹介している。いわゆる「ネイキッド(裸売り)」はハイリスクであることは否めないが、投資としてオプションが優れている点は、買いと組み合わせることで投資家自身がリスクを管理しつつ、高い勝率を狙えることである。一例をあげると、クレジットスプレッドなら三大利殖の要素を兼ね備えており、文字通り「利殖」という目的に合致する手堅い投資も可能になる。