225オプションで億トレーダー(仮)になる目論見書

オプションの投資手法を学んで、億トレーダー(仮)を目指そう!

真・善・美の感覚である「美意識」が投資にも必要な時代に

山口周のベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』を読んだ。かなり前から、美術業界にいる友人に勧められていた本だ。副題は、経営における「アート」と「サイエンス」。コンサルティングファーム在籍経験のある著者が、論理的・理性的スキルに偏重した日本企業に警鐘を鳴らし、直感的・感情的スキルの重要性を説いている。事例は企業経営のみならず、将棋やチェスなどにも及んでいて、興味深く読むことができた。

従来の論理的・理性的なアプローチを突き詰めると、他人と同じ答えしか出せなくなる。これを著者は「正解のコモディティ化」と表現する。論理的に判断できないことについて、「自分はこう思う」という哲学のようなものを持っていないと、何も決められないという結論になってしまう。そのような時に唯一頼れるのが、真・善・美の感覚である「美意識」なのだという。今、エリートたちはアートスクールに通うなどして、美意識を鍛えることに躍起になっている。

「美意識」という考え方は投資にも活かせそうだ。私が実践しようとするシステムトレードについては、古典的な推計統計学に基づいているため、まさに論理的アプローチの典型といえる。ヒントとして、デザイン会社は直感的に把握される「解」を試してみて、試行錯誤を繰り返して最善の答えに至ろうとする、と書かれていた。バックテストの結果だけで判断するのではなく、ロジックに美意識の要素を取り入れることはできないか。そんなことも頭をよぎった。

美意識を鍛える具体的な方法としては、芸術品を「見て、感じて、言葉にする」ことが有効とのこと。他にも、哲学に親しむ、文学を読むことなどが紹介されていた。投資に活かせるかどうかは置いておいても、まずは試してみる価値はあるだろう。投資を続けて行くにあたり、たまにこの本を読み返してみようと思う。今は理解できなくても、時間の経過とともに美意識が少しは鍛えられて、直感的にわかるようになることもあるのではないかと期待している。