225オプションで億トレーダー(仮)になる目論見書

オプションの投資手法を学んで、億トレーダー(仮)を目指そう!

安全策をとりつつ利益を伸ばす、これがオプションの効果

本日は5月限オプションのSQ(特別清算指数)算出日。市場推計値によると、SQは21451円91銭とのこと。2日前に両建てにして持ち越したポジションは、本日夕方にはSQ値によって清算され、証券会社から約定通知が届く。両建てによって「最大損失0円、最大利益50万円」のポジションになっていたが、最終的に利益は42万3000円(手数料別)になる見込み。最初に5P21875購入に投じた資金は10万円だったので、上出来すぎる投資効率となった。

■両建てにしなければ利益は10万円少なかった

両建てにせずに、最初に建てた5P21875だけを持ち越していたとすれば、SQ清算による受け取りは42万3000円と同額だが、最初に支払ったプレミアム10万円を差し引くと利益は32万3000円。つまり、追加で5P21375を売って受け取ったプレミアム10万円が、そっくり利益の上乗せになった。

5月8日の寄りでシンセティック(合成)ポジションにして5P21875を利益確定していたとすれば、理論値で計算して24万5000円の利益だったので、その額から見ても7割も利益を増額できた。

5P21375を売ったのは、支払ったプレミアム分を先に回収して負けをなくすという「安全策」の意味が強かったものの、結果として利益を伸ばすことに成功した。今回は運がよかったからであり、毎回そうなるとは限らないが、損する可能性を極力排除しながらも、さらに利益を伸ばせるポジションを組めるのがオプションの強みである。

■追加で5P21375を売った理由

5月8日に5P21375を100円で売った時、権利行使価格がもう一つ上の5P21500なら130円で売ることができた。もし、5P21500を売っていたとしたら、「最少利益3万円、最大利益40万5000円」のポジションになっていたところ。このポジションなら、最悪のケース(SQが21875円以上で着地)でも3万円の利益になる。しかし、私は5P21500ではなく、5P21375を100円で売った。

先ほど触れたように、5月8日に5P21875をシンセティックポジションにして利益を確定していたとすれば24万5000円の利益になっていた。その利益を見逃して、「最少利益3万円、最大利益40万5000円」のポジションに変更するということは、「利益が21万5000円減るリスクを負って、利益が16万円増える可能性に賭ける」ということになってしまう。利益が16万円増える確率が極めて高いのならチャレンジする価値はあるが、私は「分が悪い賭け」と感じた。(※単純な計算ミスがありましたので、数字を一部修正いたしました。2019年5月11日

5P21375を100円で売れば、「最大損失0円、最大利益50万円」のポジションなので、「利益が24万5000円減るリスクを負って、利益が25万5000円増える可能性に賭ける」となる。私は、SQまでにさらに日経平均が下がる確率の方が若干高いと判断していたので、これなら勝ち目は充分にあると考えたのである。

利が乗ってきたプットをどうする?負けのないポジションに変更

連休最終日のトランプ大統領のツイートをきっかけに、ニューヨークダウが大きく調整したため、連休前に購入した5P21875(5月限、プット、権利行使価格21875円)の含み益が育ってきた。最終売買日(5月9日)まであと2日しかない。このままSQに持ち越すのは、日経平均が急反発してプットが0円決済されてしまうリスクもある。そこで損をしないポジションに変更することにした。

■0円決済されると払ったプレミアムが損になる

オプションの買いは、払ったプレミアム以上に損をすることはない。SQに持ち越して権利行使価格に届かなかった場合は、SQ日に0円決済され、払ったプレミアム分の損失が確定する。現在保有している5P21875は、100円(約定価格10万円、手数料別)で購入している。仮にあと数日で日経平均が21000円を割れるような暴落が起きた場合は、100万円ほど儲かる可能性を秘めているものの、日経平均が反発してSQが21875円以上に着地すると、最大で10万円の損失になってしまう。

まとめると、今のポジションは「最大損失10万円、期待できる最大利益およそ100万円」ということになる。これだけを見ると、損小利大の理想的なポジションに思えるかもしれないが、このポジションから100万円の利益が得られるのは、先ほど触れたようにあと数日で日経平均がさらに800円以上急落した場合である。すでに連休前から600円ほど下落しているので、数日でさらに1000円近く下がる可能性はかなり低いのではないか。

■利益を限定する代わりに損失をゼロに

今日の寄付き前に5P21875の板を観察すると、予想通りスカスカ。今日利益確定するのなら、先日の記事で説明した「5月限先物ミニ10枚を買って、5C21875を売る」シンセティック(合成)ポジションを作るしかない。先物ミニの始値21600円と5C21875の始値70円から算出される5P21875の理論値は345円(21875-21600+70=345)なので、最初に払った100円を差し引くと利益は245円(24万5000円)となる。シンセティックポジションを組めば損益は確定するが、SQまでにもう少し下げる可能性も高いように思うので、ここで完全に利益を固定するのは惜しい気もする。

積極的に下げを取りに行きつつ、損する可能性を排除できるポジションとして、「5P21375の売り1枚」を追加することにした。ちょうど5P21375が100円で売れそうだったからである。現在のポジションは以下のような両建てになった。5P21875を買うのに100円支払ったが、今日5P21375を売って100円受け取ったので、これで最悪のケースでも損することはなくなった。

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現在のポジション(5P21875の買い+5P21375の売り)

日経平均が21375円まで下がると、利益は21875-21375=500円(約定ベース50万円)になる。5P21375を売っているので、日経平均が21375円からさらに下がった分については利益が増えない。両建てしたポジションは、「最大損失0円、最大利益50万円」となった。最大利益を限定する代償に、損失が出る可能性をゼロにできた。(厳密には、SQが日経平均21875円以上で着地すると手数料の数千円が持ち出しとなる。)

■リスクのないポジションなので証拠金も不要

225先物の経験がある人は、プットを売るには証拠金を積む必要があるのではないか、と心配するかもしれない。オプションを裸売りする場合は、SPAN証拠金を基準に、各証券会社が独自に決めた掛け目で算出された証拠金が必要になる。私が利用している楽天証券では、今回のように両建てしている場合は、ポジション全体で必要な証拠金を算出する「ネッティング」方式を採用している。両建てにした時点で、このポジションには損失が出るリスクがゼロなので、楽天証券の判定では「必要証拠金はゼロ」となった。

楽天証券SBI証券カブドットコム証券などでは、証拠金シミュレーターを提供しているので、スプレッドや両建てなどのポジションを取るためにどれだけ証拠金が必要なのかを簡単に試算できる。いずれにしても、今回のポジションはSQまでにどんなに相場が変動しても損失が出ないのだから、証拠金が必要ないことは納得できるだろう。

やるべきことをやっていないと不安になるのは投資も健康も同じ

10連休が明けて、株式相場も今日から再開された。連休の最終日にトランプ大統領のネガティブな発言が出て波乱を予感させる幕開けとなった。保有している5P21875の処置については連休中に決める予定だったが、連休初日から体調を崩してしまい、ほとんど休養を取るだけで連休が終わってしまった。まだリハビリ中である。

■救急外来の待合室で見た光景

連休に入るや、体の不調を感じていた。悪い予感は的中して、平成最後の日である4月30日、そして令和最初の日である5月1日と2日連続して救急外来を受診する羽目になった。私はもともとも持病を抱えており、近くの総合病院に2ヶ月に一度の頻度で診察を受けに行っていた。都会の総合病院のありがたいところは、今回の10連休のような場合も、24時間緊急の外来を受け付けていることである。救急診療は、救急車で搬送されてくる患者を最優先するので、症状の軽い場合は断られるケースもある。

普段の待合室は高齢者の比率が高く、みんな整然と椅子に座って順番を待っていて、見る限りでは健康そうな人も多く、誰がどんな病気を持っているのかもわからない。ところが、救急診療を受けにいった日は、見慣れた待合室なのに光景がまるで違う。ちょっとトラウマになってしまうような悲惨さだった。まず客層がいつもと違って、働き盛りの人や若者がほとんど。見るからに調子の悪そうな人ばかりで、長椅子で横になっている人や、我慢しきれずにレジ袋に嘔吐している人もいる。通常の日なら、医師も看護婦も大勢いるので、そのような急病人は優先して診察されるのだろうけど、この日は来ている人全員が救急外来なのだから、順番を待つしかないようだ。

夜間診療や休日診療の場合は、初診料や再診料が加算される。休日は会計機能が停止しているので、救急外来を受診する人は一律1万円の預け金を収めて、後日、通常営業している日に診察料を精算する必要がある。この金額は病院によって設定は異なる。実際は休日診療でも再診料が1000円弱加算されるだけなので、調子が悪いのに費用を心配して受診を躊躇するのはよくない。ただ、待合室で嘔吐しながら順番を待つ患者を見てしまうと、自分が診察に来なければ、その人の順番が少しでも早くなったのでは、と思わざるを得なかった。

■何事もメンタルが重要だと再認識

応急対応の薬を処方してもらい、自宅でおとなしく療養することにした。朝晩に寒気を感じることもあったので、微熱が出ているのではないかと疑った。数年に一度は風邪などで熱が出ることもあったが、熱があるかどうかは自分の感覚で判断できると過信していたこともあって、自宅には体温計がなかった。そこで、近くのドラッグストアで電子体温計を買って体温を測ることにしたのだが、一番安い体温計を買ったのがマズかった。

安い体温計だけあって、正確な体温を測るのに10分かかる実測式のものだった。説明書をよく読んでいざ測ってみると、なんと35.5度しかない。あまりの低さにビックリした。測り方がマズいのかもしれないと何度もやり直してみたが、やはり35度台である。不調の根本的な原因は低体温にあったのか。これは大変なことになった、と精神的に落ち込んだ。残りの連休は、とても暗い気持ちで過ごすことになってしまった。

今日、連休が明けたので総合病院に受診料の精算のために足を運んだ。精算を終えると、看護婦さんに体温計を貸してもらって体温を測ることにした。病院で使われている最新式の体温計でも35度台なら、その場で看護婦さんに低体温について相談するつもりだった。で、測ってみると36.4度、平均的な体温である。あの35度台の数字はいったい何だったんだろうか。

自分は持病を抱えていることもあって、健康にはそれなりに気を使っているつもりでいた。今回のことで思い知らされたのは、平熱がいくらかさえ把握していなかったという自分の怠慢ぶりである。普段から体温を正確に測る習慣を持っていれば、低体温症ではないかと不安になることもなかった。やるべきことをやっていないから、余計なことで不安になるのである。令和は反省の気持ちから始まった。

225オプションをやる理由は簡単!「もっと儲けたいから」

私は今、225オプションに力を入れている。「株で儲けた」と言ったところで、投資をやっていない人からは「運がよかっただけでしょ」と思われるのが関の山。しかし、「225オプションで儲けた」と言えば、「それは凄い!(よくわからないけど)」と一目置かれる可能性が高いから。もちろん、これは冗談。私がオプションをやる理由はシンプルで、もっともっと儲けたいからに他ならない。オプションはそれだけの可能性を秘めている。

■なぜ「225オプション」は魅力的なのか

オプションに関する知識がほとんどなかった頃は、市場が不安定な時に保有株の値下がりをヘッジする「掛け捨て保険」でプットオプションを買う程度だった。たとえば、2016年6月23日のイギリス国民投票、2016年11月8日のアメリカ大統領選挙の直前や、2017年4月から5月にかけて北朝鮮情勢が緊迫した時などにプットを買っていた。ヘッジをかけることで本命銘柄を安心してホールドでき、その後の上げ相場で儲けることができた。平常心を保てたことだけでも、プットに払った保険料は充分にペイしたと思っている。

しかしながら、最近になって本気でオプションの勉強を始めてみると、当時の私のやり方がいかに稚拙だったかを痛感した。掛け捨て保険であるにしても、売りを上手に組み合わせれば、ヘッジコストをほぼゼロに抑えることも可能だった。その方法はヘッジだけでなく、積極的にトレンドを取りに行く際にも応用できる考え方であり、オプションは基本さえ習得できていれば、いろいろな武器を自由自在に作ることができる。昨日の記事でも紹介した、225先物とオプションの関係を示す方程式が理解できると、オプションを活用しないのは儲けるチャンスをみすみす放棄する行為とさえ思えてくる。

私は取引回数を増やして月ベースでコンスタントに収益を上げるシステムトレードを目指している。オプションはシステムトレードとも相性がいい思う。オプションの理論価格を算出するブラック・ショールズ方程式はちんぷんかんぷんであるが、オプション自体が確率や期待値に基づいて人工的に作られた金融商品だということは理解できる。オプションのリスクパラメータであるグリークスやボラティリティは、すべて数字で表される。統計学や確率でロジックを組立てるシステムトレードとは、本質的部分で通じているのではないだろうか。

■225先物やオプションの研究は遅れている

システムトレードを勉強する過程で、FXの自動売買についても身銭を切っていろいろ試してみた。FXは、MT4という優れたプラットフォームのおかげで、インジケータやEA(エキスパート・アドバイザ)を使った自動売買が盛んに行われている。EAを使えば、こんなことをトリガーにする売買ルールでも組み込めるのか、と大いに刺激になった。システムトレードの研究や検証が一番進んでいる投資は、間違いなくFXだと思う。

海外のFX業者では、日経225をCFDの形で取引ができる。FX用に開発されたインジケータを日経225CFDのチャートに適用して、チャート上に表示される売買サインをもとに、日本の証券会社で225先物を取引できるのではと考えたことがある。実際に調べてみると、日経225CFDの歴史は浅く、バックテスト用の過去データの入手が難しいことがわかった。大阪取引所のヒストリカルデータでは、価格の連続性に問題がある。つい8年ほど前まではニューヨーク市場が開く前に取引が終了しており、東京市場の寄付きで毎日のように大きなギャップアップやギャップダウンが発生して、まともなチャート分析ができない。

そのような事情もあり、225先物システムトレードとしては、毎日寄付きで225先物の成行注文を出し、その日の大引けで反対決済する「寄り引けシステム」が今でも根強い人気を保っている。寄り引きシステムは、日中の四本値データさえあれば簡単にバックテストでき、同じロジックなら誰でも同じ結果になるなどのメリットもあるが、個人的にはシステムトレードとしては発展途上の形だと思っている。225先物を使ったシステムトレードの決定版は、まだ登場していないというイメージだ。まして、225オプションを使ったシステムトレードとなると、一般の投資家にはほとんど知られていない。この分野の研究は、FXに比べてるとかなり遅れていると感じる。

ボラティリティをトリガーにしたトレードに大きなチャンス

オプションの最大の特徴は、価格を決める要因として、原資産(日経平均)の値動きだけでなく、ボラティリティや残存期間などグリークスの数字が複雑に絡まっていること。特に、ボラティリティの影響は大きく、オプション取引は「ボラティリティトレード」と表現されることもある。オプション上級者の話を聞くと、ボラティリティやグリークスの数字で売買タイミングを決めていて、日経平均のチャートはあえて見ないことも多いのだという。株やFXとは明らかに違った世界であることがわかる。

投資家の間では「恐怖指数」で知られるVIX指数は、アメリカのS&P500短期オプションのボラティリティ平均値を期待値として算出したもので、目先の価格変動リスクの大きさを表す。ダウとVIXを同じチャートに表示すると、きれいに逆相関になっており、VIXを判断材料として売買する大口投資家も少なくない。VIXの他にも、シカゴ・オプション取引所(CBOE)はSKEW指数なるものを公表している。オプションから算出される価格変動リスクの分布は、正規分布に比べて端(テール)が大きくなる。この指数は、その歪み(SKEW)を指数化したもの。株価暴落のテールリスクを示すため、「ブラックスワン指数」とも呼ばれている。要するに、株式市場全体の不安感は短期オプションのボラティリティの数字に凝縮されるということである。

ボラティリティを見て売買タイミングを決めるという先ほどのオプション上級者の言葉は、とても理に適っている。ならば、オプションのボラティリティをトリガーにして、225先物日経平均との連動性が高い個別株のシステムトレードはできないだろうか。日本にも225オプションのボラティリティから算出された「日経VI指数」がある。一部の投資家の間では、日本版VIXとも呼ばれ注目度も高まってきている。実は、日経VIを225オプションや先物の売買にどう活用できるかを研究中だ。まだ内容は公表できないが、テスト売買の結果などは、順次ブログでも掲載していきたい。

含み益になったプットオプションをより有利に利益確定する方法

ついに株式市場は10連休に突入した。4月25日に購入したプットオプション(5P21875)が思惑通りに含み益になったものと想定して、連休明けにどう利益確定するかイメージトレーニングしておこう。利益確定って、買ったプットを売るだけじゃないの、と突っ込みが入るかもしれない。オプションは、他の投資商品(225先物)を組み合わせことで、有利な条件で利益を確定する手法が使える。オプションは実に奥が深い、だから面白い。

■権利行使価格を超えてくると流動性が低くなる

買ったオプションを売却するタイミングとしては、主に①SQ日に自動決済させるか、②SQ前日の最終売買日までに反対売買(転売)するかの2つに分類できる。「10連休中の暴落をヘッジする」という目的だけなら、連休が明けたらオプションの役割は完了するので、その時点で含み益になっていれば売却してもいいだろう。5月限の最終売買日はSQ前日の9日。SQ前に反対売買するなら、5月7日、8日、9日の3日間に限られる。

思惑通りに日経平均が動くと、やがて権利行使価格に達する。権利行使価格と一致したオプションはATM(アット・ザ・マネー)、権利行使価格を超えたオプションをITM(イン・ザ・マネー)と表現する。特に権利行使価格を大きく超えてきたものは、頭にD(ディープ)を付け加えてDITMと呼ばれることもある。ITMになれば、本質的価値が発生するのでオプション価格は一気に増加する。その一方で、ITMやDITMのオプションは、市場で売買しにくくなるというマイナス面もある。

DITMのオプションが敬遠される理由は、デルタが1もしくは-1に接近すると、順行するにつれて実質持ち高が増えるというオプションの魅力が減るからだ。デルタの絶対値が1なら先物と同じ値動きになるので、あえてDITMを新規に売買する人は少なくなり、注文の板がスカスカになる。この状態で利益確定の成行売りを出そうものなら、とんでもなく安い価格で約定してしまう危険性がある。

■オプションと先物の関係を理解する方程式

これからオプションを始めたい人に、ぜひ覚えておいて欲しい方程式がある。「225先物の買い=コールの買い+プットの売り」、裏返せば、「225先物の売り=プットの買い+コールの売り」となる。この方程式をマスターできれば、オプションの理解がずっと深まる。「同じ限月」で「同じ権利行使価格」のコールとプットの買い・売りを組み合わせれば、実質、先物と同じになることを表している。冒頭で、日経225先物のことをあえて「別の投資商品」と表現したが、225先物と225オプションは密接な関係を持っている親戚みたいなものである。

では、思惑通りに日経平均が大きく下落して5P21875がDITMになって、買い板がスカスカになった場合、どうすればいいのだろうか。今のポジションは「5P21875の買い」である。ならば、「5P21875の売り」に相当するポジションをあらたに建てれば、両建てとなって利益確定したことになる。上記の公式「225先物の買い=コールの買い+プットの売り」の「コールの買い」を逆にして移動させると、「プットの売り=225先物の買い+コールの売り」に変形できる。つまり、5P21875を売却する代わりに、5月限先物ミニ10枚を買って、コール(5C21875)を1枚売れば、完璧な両建てが完成する。株価が21875円より大きく下がっているなら、5C21875はOTMなので、スムーズに約定できるはずだ。このように、先物とオプションを組み合わせることを、シンセティック(合成)ポジションという。

最初に建てた「5P21875の買い1枚」と、あらたに建てた「5月限先物ミニの買い10枚」、「5C21875の売り1枚」の合計3つのポジションはSQまで放置すればいい。自動的に決済されて理論値での利益確定が行われる。ラージ1枚ではなくミニ10枚にしたのは、オプションや先物ミニは毎月SQがあるのに対して、先物ラージのSQは3、6、9、12月の年4回に限られているためだ。取引しているのが6月限であれば先物ラージ1枚でOKだが、先物ミニは刻みが5円(ラージは10円)なので、成行買いする際に有利な価格で約定できる可能性が高くなる。

■実質持ち高が変化する性質を活かした売買

オプションでは含み益を一部確保しつつ、さらに利益を伸ばす方法もある。昨日の記事で紹介した、思惑通りに動くと実質持ち高がいい方向に変化するというオプションの特性を活かした売買である。原資産(日経平均)が権利行使価格に一致すると、プットのデルタは-0.5となり、実質的な持ち高は先物ラージ0.5枚(ミニ5枚)になると書いた。さらに権利行使価格を超えて日経平均が下がっていくと、実質持ち高はミニ6枚、ミニ7枚という具合に、プットを保有している人の都合のいい方向に変化する。

たとえば、購入したプットが権利行使価格を超えてきて、デルタが-0.6になった時点で一部利益確定したいなら、先物ミニ6枚を買って(デルタ的に+0.6)、デルタの合計値を0にするのである。この取引を「デルタヘッジ」と表現する。前述のシンセティックポジションと同じようなものと思うかもしれないが、決定的な違いがある。後から買った先物ミニ6枚は、日経平均がどう変動しようがミニ6枚で変わりがないが、持ち続けているプットはさらに日経平均が下がれば、実質持ち高はデルタの変化に合わせてミニ7枚分、ミニ8枚分と増える可能性がある。デルタが-0.8に変化したとすれば、ポジションは先物ミニ6枚の買いに対して、売りはミニ8枚分になる。実質持ち高をいったん0に調整したのに、さらに順行することで都合のいい方だけポジションが増え、利益が伸びたことになる。

デルタヘッジした後に相場が上昇に転じると、売りの実質持ち高がミニ6枚から5枚、4枚へと減っていく。オプション自体の含み益は減ってしまうが、ヘッジで買った先物ミニ6枚の利益が出るので、全体の利益はさほど減少しない。ちゃんと利益の一部を確保できたことになる。売りの実質持ち高が4枚に減ったところで、先物ミニの買いを2枚利益確定して4枚に減らすことで、再度デルタを0に調整できる。

デルタヘッジこそ、オプション取引の神髄ともいえるもので、これを自由自在に操れるようになれば、あなたも立派なオプショントレーダーである。今回の5P21875については、SQまでの残り日数が少ないので、デルタヘッジを行うのは難しいかもしれない。デルタヘッジを詳しく書くと長くなるので、日を改めて再度記事にしたい。

プットのヘッジ効果は?実質持ち高が変化するオプションの仕組み

株式市場10連休前に、ヘッジ目的を兼ねて日経225のプットオプションを購入したことを昨日の記事でお知らせした。私が購入したのは、5P21875(5月限、プット、権利行使価格21875円)という銘柄。購入価格はちょうど100円(約定価格10万円、手数料別)だった。このプットを持つことで、どれだけのヘッジ効果があるのだろうか。

■オプションを理解する鍵はグリークス(ギリシャ文字

5P21875を購入した時の日経平均はおよそ22260円だった。私の購入したプットは、日経平均が21875円以下にならないと権利行使できずに無価値になってしまう。このように権利行使価格に達していないオプションのことをOTM(アウト・オブ・ザ・マネー)と表現する。本質的価値はゼロなのに100円という価格がついているは、SQ日(5月10日)までに権利行使価格に達する(21875円を超えて下がる)可能性が残っているからだ。

オプションでは、理論価格を算出する上で必要になるリスク要因が主なものだけで5種類ある。それらの数値は、グリークス(ギリシャ文字)と呼ばれる。初めて目にする人にとっては、単なる数字の羅列にしか思えない。オプションが難しいと思われている張本人ともいえる。オプションが好きになるかどうかは、グリークスを乗り越えられるかどうかにかかっているといっても過言ではない。グリークスの原理がわかれば、オプションをどんな局面でどう組み合わせれば儲けられるかがわかるようになる。

グリークスは、オプションの売買が行われている時間帯ではリアルタイムで変化する。私が購入した直後に証券会社の画面をキャプチャしたところ、5P21875のグリークスは「デルタ -0.2614、ガンマ 0.0005、ベガ 14.6750、セータ -6.6790」となっていた。今後、実際の売買に関連付けてグリークスの説明をしていくつもりだが、今回は記事タイトルにあるヘッジ効果に関係する「デルタ」に触れてみたい。

■プット1枚でどれだけ空売りした効果があるか

問題は、5P21875に支払った10万円で、どれだけのヘッジ効果があるか、という点である。オプションは225先物ラージと同様に価格の1000倍で取引されるが、OTMのプット1枚の買いで、先物ラージ1枚を売る効果があるわけではない。先物に換算して、何枚分の空売り効果があるのかを示す数字が「デルタ」だ。

デルタの教科書的な定義は、原資産(日経平均)の変動に対するプレミアムの変化量、となる。デルタは、コールの場合は0から1の間、プットの場合は0から-1の間で変化する。先ほどの5P21875の場合、デルタの値は-0.2614だった。この数字は、「日経平均が100円上がると、プレミアムは26円下がる」ということを示している。ということは、先物ラージに換算すると、0.26枚(ミニ2.6枚)分をショートしているのと同じ。そう、デルタは先物に換算した場合の実質的な持ち高を示しているのである。

5P21875を買った瞬間は、先物ラージを0.26枚ショートしているのと同じなので、先物ラージ1枚(2226万円に相当)の0.26倍にあたる約579万円分、日経平均空売りしていることになる。なんだ、金額的にみるとたいしたヘッジ効果じゃないな、と思う人もいるかもしれない。実は、ここからがオプションの面白いところであり、魅力的な部分になる。

■思惑通りに動くと実質持ち高がいい方向に変化

デルタは、原資産(日経平均)が権利行使価格と一致する時には、絶対値が0.5になるという原則がある。5P21875のデルタは、私が購入した時には-0.2614だったが、もし日経平均が当時の22260円から385円下落して21875円になったとしたら、デルタは-0.5に変化する。デルタ-0.5ということは、先物ラージ0.5枚をショートしているのと同じなので、日経平均を約1094万円分空売りしていることになる。日経平均が思惑通りに権利行使価格まで下がれば、ヘッジ効果が飛躍的に高まったことがわかるだろう。

さらに21875円を超えて下落すると、デルタは-0.5から-1に向けて変化していく。仮に日経平均が1000円くらい急落してデルタが-0.8に変化したとすれば、実質的な空売り分は約1700万円まで急拡大する。これがプットオプションのヘッジ効果である。株式を時価評価で2000万円くらい保有していて、10連休明けに日経平均が1000円暴落すると困るな、と考えている人にとっては、充分すぎるヘッジ効果と言えるのではないだろうか。

このようにオプションの買いでは、原資産が思惑通りの方向に動くと、実質持ち高が都合のいい方に動く。コールの買いの場合は、日経平均が上昇すると、それに伴い実質持ち高が増えていく。最初はミニ2枚分くらいのポジションだったのに、追加投資することなく、実質持ち高がミニ3枚、ミニ5枚と増えていくのだから、こんなに嬉しいことはない。

GW前にプットオプションを購入!ありきたりな手を指した理由とは

日本の株式市場は、今週末からいよいよ史上初の10連休に突入する。私は、連休前に日経225のプットオプションを購入することにした。10連休中に何か大きな材料が出て、連休明けに日経平均が暴落するかもしれない。プットを保険として買っておくというのは、ある意味、誰でも思いつくベタな手である。あえて私がありきたりな手を指すのには、それなりの理由があった。

■オプションの価格を決める大きな要素はボラティリティ

日経平均下落のヘッジとしてプットが有効なのは、日経平均が下落するとプットの価格が上昇するので、その利益によって損失の一部をカバーできるからである。オプションの理論価格は、ブラック・ショールズ方程式によって算出できるが、原資産(日経平均)価格のほか、残存期間、金利ボラティリティなど複数の要素が関係してくる。

この中で、オプションの価格に大きな影響を与えるのがボラティリティである。ボラティリティとは、目先の価格変動リスクの大きさを表すもので、一般的には株価の上昇局面では低下し、株価の急落局面で急上昇する。市場の不安感を示すバロメーターと捉えればいいだろう。

株価が急落すると、急上昇したボラティリティがプットの価格を押し上げる効果がある。逆に、日経平均が値上がりするリスクをヘッジするためにコールを買うのはあまり得策とはいえない。日経平均が上昇すれば一般的にはボラティリティは低下するため、日経平均の上昇の割にはコールの価格は上がりにくくなるからだ。

蛇足ながら、保有株のポジションを減らして日経平均の値上がりリスクをヘッジしたい場合は、たとえば証券コード1321のような日経平均に連動するETFを買うのが実践的ではないかと思う。

■日経VIは今後1ヶ月の予想変動率を示す

日経平均ボラティリティを示す指標としては、日本経済新聞社がリアルタイムで算出している日経VIがある。日経平均の将来1ヶ月間の変動の大きさを、標準偏差のように年率のパーセント単位で表示する。日経VIの過去のチャートを見ると、株価急落局面では数値は大きく跳ね上がるが、しばらくした後に20から30ポイントのレンジに回帰するという特徴がある。

日経VIが20ポイントということは、今後1ヶ月の変動率が年率20%、1日あたりに換算すると約1%と市場が予想しているという意味である。今日の日経平均が22200円だとすると、明日は21980円から22420円の範囲に収まる確率が約68%ということを示している。

日経VIのチャートを観察すると、興味深いことがわかる。日経VIが15ポイントを割り込むことはめったにない。長期チャートでは20~30ポイントのレンジに収まる期間が長いことから、日経VIが15~20ポイントのある間は、市場の不安感が和らいでいる=上昇しやすい局面であると判断できる。

■月末・月初なら残存期間も短いので安く買える

日経VIをトリガーにしたシステムトレードとしては、次の2つが思いつくだろう。日経VIが一定期間20ポイントを超えていた局面から20ポイントを割り込んだタイミングで、相場はリスクオンに切り替わったと判断して買いポジションを仕掛けること。もう一つは、日経VIが一定期間20ポイントを割り込んでいて、市場が安心感に支配されてプットが安く買えるタイミングでプットを仕込むことである。

オプションの期限(SQ日)は、毎月第二金曜日と決められている。月末になると、期限までに残存期間が短くなるので、オプションの価格も低下する。ボラティリティが低く、なおかつ残存期間が短くなる月末・月初にプットを仕込むのは合理的な戦術だと思われる。2018年のチャートで検証してみると、月末・月初に日経VIが明らかに20ポイントを割り込んでいたケースは6回あり、そのタイミングでプレミアムが100円前後(約定価格で10万円前後)のプットを買ってSQまで持ち越していたとすれば、勝率は高くないもののトータルではかなりの利益が得られたことがわかった。

昨日(4月24日)の日経VI終値は16.40ポイントだった。1週間前に比べると1ポイントほど上昇しているものの、節目の20ポイントを大きく割り込んでいる。今週末から10連休に入るため、SQ(5月10日)までの実質的な残存期間は短い。プットを仕込む好条件が揃っていると判定できる。もちろん、思惑通りにプットが上昇(日経平均が下落)するとは限らない。しかしながら、連休期間中の保有株値下がりリスクをヘッジしたいと考えていた私にとっては、二重の意味でプットを買ういい機会になったのである。