225オプションで億トレーダー(仮)になる目論見書

オプションの投資手法を学んで、億トレーダー(仮)を目指そう!

プットのヘッジ効果は?実質持ち高が変化するオプションの仕組み

株式市場10連休前に、ヘッジ目的を兼ねて日経225のプットオプションを購入したことを昨日の記事でお知らせした。私が購入したのは、5P21875(5月限、プット、権利行使価格21875円)という銘柄。購入価格はちょうど100円(約定価格10万円、手数料別)だった。このプットを持つことで、どれだけのヘッジ効果があるのだろうか。

■オプションを理解する鍵はグリークス(ギリシャ文字

5P21875を購入した時の日経平均はおよそ22260円だった。私の購入したプットは、日経平均が21875円以下にならないと権利行使できずに無価値になってしまう。このように権利行使価格に達していないオプションのことをOTM(アウト・オブ・ザ・マネー)と表現する。本質的価値はゼロなのに100円という価格がついているは、SQ日(5月10日)までに権利行使価格に達する(21875円を超えて下がる)可能性が残っているからだ。

オプションでは、理論価格を算出する上で必要になるリスク要因が主なものだけで5種類ある。それらの数値は、グリークス(ギリシャ文字)と呼ばれる。初めて目にする人にとっては、単なる数字の羅列にしか思えない。オプションが難しいと思われている張本人ともいえる。オプションが好きになるかどうかは、グリークスを乗り越えられるかどうかにかかっているといっても過言ではない。グリークスの原理がわかれば、オプションをどんな局面でどう組み合わせれば儲けられるかがわかるようになる。

グリークスは、オプションの売買が行われている時間帯ではリアルタイムで変化する。私が購入した直後に証券会社の画面をキャプチャしたところ、5P21875のグリークスは「デルタ -0.2614、ガンマ 0.0005、ベガ 14.6750、セータ -6.6790」となっていた。今後、実際の売買に関連付けてグリークスの説明をしていくつもりだが、今回は記事タイトルにあるヘッジ効果に関係する「デルタ」に触れてみたい。

■プット1枚でどれだけ空売りした効果があるか

問題は、5P21875に支払った10万円で、どれだけのヘッジ効果があるか、という点である。オプションは225先物ラージと同様に価格の1000倍で取引されるが、OTMのプット1枚の買いで、先物ラージ1枚を売る効果があるわけではない。先物に換算して、何枚分の空売り効果があるのかを示す数字が「デルタ」だ。

デルタの教科書的な定義は、原資産(日経平均)の変動に対するプレミアムの変化量、となる。デルタは、コールの場合は0から1の間、プットの場合は0から-1の間で変化する。先ほどの5P21875の場合、デルタの値は-0.2614だった。この数字は、「日経平均が100円上がると、プレミアムは26円下がる」ということを示している。ということは、先物ラージに換算すると、0.26枚(ミニ2.6枚)分をショートしているのと同じ。そう、デルタは先物に換算した場合の実質的な持ち高を示しているのである。

5P21875を買った瞬間は、先物ラージを0.26枚ショートしているのと同じなので、先物ラージ1枚(2226万円に相当)の0.26倍にあたる約579万円分、日経平均空売りしていることになる。なんだ、金額的にみるとたいしたヘッジ効果じゃないな、と思う人もいるかもしれない。実は、ここからがオプションの面白いところであり、魅力的な部分になる。

■思惑通りに動くと実質持ち高がいい方向に変化

デルタは、原資産(日経平均)が権利行使価格と一致する時には、絶対値が0.5になるという原則がある。5P21875のデルタは、私が購入した時には-0.2614だったが、もし日経平均が当時の22260円から385円下落して21875円になったとしたら、デルタは-0.5に変化する。デルタ-0.5ということは、先物ラージ0.5枚をショートしているのと同じなので、日経平均を約1094万円分空売りしていることになる。日経平均が思惑通りに権利行使価格まで下がれば、ヘッジ効果が飛躍的に高まったことがわかるだろう。

さらに21875円を超えて下落すると、デルタは-0.5から-1に向けて変化していく。仮に日経平均が1000円くらい急落してデルタが-0.8に変化したとすれば、実質的な空売り分は約1700万円まで急拡大する。これがプットオプションのヘッジ効果である。株式を時価評価で2000万円くらい保有していて、10連休明けに日経平均が1000円暴落すると困るな、と考えている人にとっては、充分すぎるヘッジ効果と言えるのではないだろうか。

このようにオプションの買いでは、原資産が思惑通りの方向に動くと、実質持ち高が都合のいい方に動く。コールの買いの場合は、日経平均が上昇すると、それに伴い実質持ち高が増えていく。最初はミニ2枚分くらいのポジションだったのに、追加投資することなく、実質持ち高がミニ3枚、ミニ5枚と増えていくのだから、こんなに嬉しいことはない。